軽度・重度な後遺症認定について知りたい方へ

このたびの被害に関し、お見舞い申し上げます。

交通事故に遭うだけでもつらい経験ですのに、そのうえ後遺症が残るおそれがおありとなれば、ご心労はたいへんなものとお察しいたします。

以下、後遺症と損害賠償の関係について記します。ご参考にしていただければと存じます。

後遺障害等級の認定が、その後の賠償にとって重要となりますので、お医者様とも十分相談して症状を確認していただき、また、なるべく弁護士にも相談されることをお勧めします。

症状固定とは

交通事故の被害者が入院や通院を行って治療を受けると、一般に症状は段々改善していきます。

そのまま完治する場合もありますが、残念ながら、それ以上治療を続けても症状が改善せずに残ってしまうこともあります。

この、それ以上治療を続けても、症状の改善が見込めない状態になることを、症状固定と呼びます。

症状固定後に残った症状が後遺症ですが、後遺症が残れば、当然にその分の損害賠償が行われるわけではありません。

少なくとも、自賠責保険の支払いに当たっては、その後遺症が後遺障害と評価される必要があります。

後遺障害とは

後遺障害とは、

  1. 負傷が治ったときに残存する当該負傷と相当因果関係を有する
  2. 将来においても回復が困難と見込まれる精神的または身体的な毀損状態である
  3. その存在が医学的に認められ、
  4. 労働能力の喪失を伴うもの

をいいます。

後遺症が残っただけではなく、それが上記1~4の要件を充たすものであるときにはじめて、後遺障害と評価され、自賠責保険の支払対象となります。

後遺障害等級の認定とは

後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構により行われます。

後遺障害別の等級は、自賠法施行令別表第1・第2に定められており、労災保険の後遺障害別等級と同内容です。

別表第1は、介護を要する後遺障害、別表第2は、それ以外の後遺障害で、各等級ごとに、自賠責保険の金額と労働能力喪失率が定められています。

裁判基準では、自賠責保険の後遺障害等級の認定がなされないと、後遺症分の損害賠償が、認められないというわけではありません。

しかし、たとえば青い本では、逸失利益について「労働能力喪失率は、自賠責の後遺障害等級に対応する労働能力喪失を基準として」、後遺症慰謝料について「基本的には、自賠責後遺障害等級に該当するものを慰謝料算定の対象とする」との記述があり、後遺障害の該当性の有無、等級の認定は、事実上、損害賠償額の算定にとって重要と言えます。

比較的よく見受けられる後遺症である、むちうち、カウザルギーなどの場合、もちろん後遺障害非該当となるケースもありますが、該当する場合は、14級または12級になることが多いでしょう。

ちなみに、労働能力喪失率は、14級で5%、12級で14%です。

後遺症慰謝料は、14級の場合、自賠責基準は32万円、青い本基準は90~120万円、赤い本基準は110万円、12級の場合、自賠責基準は93万円、青い本基準は250~300万円、赤い本基準は290万円です。

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